横浜対話の会 12月例会の報告

12月14日に第24回横浜対話の会を行いました。


「言葉をわたす、受け取る感覚をどのように育んでいくか」K先生の挑戦です。1年生の頃は譲り合わずに自己中心性を発揮していた学級の子どもたち。他者意識が薄く、言葉を投げ合い、相手に言葉が届かないから喧嘩になることがありました。言葉の宛先を先生ではなく友達にしていくにはどうしたらよいのか悩みながら実践されています。その悩みは参会者も深く共感できる内容でした。

この子への願いと教師の挑戦から設定された単元・2年生国語「わたしはおねえさん」の実践から学びました。この子は、喜怒哀楽が豊かなAさんと自分に自信のないB君です。Aさんは、自己中心的で他者に攻撃的になりがちな面をもつ子です。授業の中でAさんにとって安定につながる“ほっとできる時間”になることを願い実践されています。授業の様子から、以下のような意見がありました。

・Aさんの発言への視聴率が低いことが気になる。

・泣きそうな怒りそうな物語の主人公の「すみれちゃんと似ている」と発言したAさんが「じっと。ずっと。」の後の緊張感がほどける「あはは。」の叙述をどう読んだのか、気になる。

・すみれちゃんとかりんちゃんのやりとりの中の句読点や「」をどう読むのか、気になる。

・「色いろ」とふり返りに書いている。それは、すみれちゃんへの見方を広げる語り合いだったからこそ、Aさんの中で広がりすぎてしまい、整理しきれない気持ちがそのまま表れているのではないか。また、板書を読むと「色いろ」と書きたくなる気持ちも分かる。

また、Bくんについては、

・手を挙げて発言しようとしている場面がある。フリーで話せる場面では手を挙げているが、教師が「そういう話とつながる人いるんじゃない?」と言うと、手を下げたので、発想が豊かな面を発揮させたいのであればフリーな場面で指名した方がよいのでは?という意見が出ました。

また、「あああ」という感嘆の声や、納得っぽい反応が表れる場面は友達に言葉が届いているように感じるという話が出ました。一方、何でも「あああ」という子の反応は疑って聞いた方がよいこともあるという意見もありました。

宛先が友達になるためには、教材内容も深まったときだと思うという意見もあり、記録者の心に残りました。

さらに、座席表の活用についても話題になりました。ノートの振り返りに書いた全文をパソコンで打ち直すのはすごく大変です。ただ日常化したい。なぜならば、宛先を友達にしていく上で効果的だからです。そこで、小さな付箋に書くようにし、一人ひとりの枠に貼る。それを印刷して配るだけという方法を教えてくださった先生がいました。

今回の授業では、あえて「すみれちゃんって○○な子」だけ付箋に書く。続きを書きたければノートに書く。すると、短い言葉でつくる座席表は読みやすく、また説明しきれていないから互いの意見を聞きたくなります。聞きたくなるから、友達の考えも気になるようになる。それを聞くと納得の「あああ」が生まれる。と、座席表を教材にし、継続し続けるためのヒントも得ました。そこから、○○さんは、どうして~書いたと思う?という授業もつくれるでしょう。あえて抽象度が高い言葉からこそ、その子の理由や根拠が聞きたくなる。すごく納得しました。

多忙な中、日頃の授業を見せてくださったからこそ、日常から大事にしたいことについて考えられた会でした。K先生ありがとうございました。

次回は2月22日です。また熱く温かく語り合いましょう。

教育実践対話の会

教育実践対話の会は,一人ひとりの子どもの思いを大切に受け止めながら,教師一人ひとりが自らの実践を語り合い,深め合い,授業づくりと学級づくりの融合をめざして考究する仲間の集いです。 1998年の創設以来、全国各地の現職教師はもとより,教師志望の学生や,さらに広く教育実践問題に関心のある方々が集まり,互いの願いをつなぎ合いながら授業づくり,そして,教師としての私を考え続けています。

教育実践対話の会

教育実践対話の会は,一人ひとりの子どもの思いを大切に受け止めながら,教師一人ひとりが自らの実践を語り合い,深め合い,授業づくりと学級づくりの融合をめざして考究する仲間の集いです。 1998年の創設以来、全国各地の現職教師はもとより,教師志望の学生や,さらに広く教育実践問題に関心のある方々が集まり,互いの願いをつなぎ合いながら授業づくり,そして,教師としての私を考え続けています。